森記

家具工作人 森俊宏のブログ

2016年7月10日に思う

2011年3月。

原発が爆発した。

原発の爆発など、まったく縁の無い事と思っていた。

記憶では「チェルノブイリ」があった。高校生の頃だ。

震災の影響でテレビもネットもうまく見れない状態が続き、

すこしでも何か情報が取れないかとヤキモキした。

不安だった。

そんな中、散発的に入る情報。

良くならない現状。

つながったネットで「チェルノブイリ原発事故」を調べると、出てきたのが

「300km内は危険、どこに放射能が降るかわからない」と。

テレビでは「30km圏内避難」

あれ?0が一つ違わない?

不安が募る。現状は良くならない。

そして、余震の続く中、色々なモノを抱え、実家(関東南部)に一時戻る事にした。

川
「清流」

実家に帰る途中、不安があった。

ガソリンに余裕が無かったのだ。

なので、混まない時間、できるだけ止まらずに運転できる時間を選んで出発した。

深夜の移動であった。

途中、地震の影響で土砂崩れのための通行止めが数か所あり、

それを迂回する。その分増した距離が恨めしい。

焦りながらも、どこかなぜか冷めた気持ちだった。

それは不安からくるものだったのか、未だに分からない。

深夜の移動は、郷里に近づくにつれ不思議な感覚に包まれた。

震度6の栃木北部から、関東南部へ。

時折停電し、真っ暗闇の世界から、

いや、それ以上、暗闇以上に不安になるモノの恐ろしさからの移動、

非常事態の場所からの移動。

わずか4時間ほどの所なのに、国道脇のゲームセンターに灯りが爛々とついている。

コンビニもいつもと変わらない。

「変わっているのは何だろう」と思わせるほどの光景に、

なぜか打ちのめされた気持ちになった。

実家についたのは夜が白くなった頃だった。

しもつけ
「シモツケ」

実家では計画停電が無かった。

街中なのでそうだったのか、なぜ停電がなかったのか。

「きっと那須では今停電中」

そんな事を思う実家での生活が続いた。

テレビでは一向に原発が収まらない事を告げ、

私は時間を持て余し、というより、何かしていないと不安でしょうがなくなるので、

家の自転車を借りて、25年振りくらいに自分が育った町を走ってみた。

変わっていない所、変わってしまった所。

どこにいるのか分からなくなる程、全く変わってしまったところもあった。

あの店も無くなった。この店も無くなった。

あの森も、この森も、この川も。

時の流れを感じながらも、寂しくはない。

自分は出た町。過去の町。今は知らない町。皆さんの町。

大きく、太く、走りやすくなった道を自転車で走りながら、

ふと脇から伸びる砂利道が気になった。

カエル
「カエル」

思い出した!この砂利道は確か・・こんもりした森を抜け家に帰る道だ。

砂利道に入ると風景は一変した。

と、いうより前と変わらない、昔馴染みの景色。

釣り餌のミミズを掘った土手。

カブトムシを探したクヌギ。

タイムスリップしたようにそのままだった。

砂利道は緩くカーブし、登って行く。

子供の頃は自転車で登れなかった道だ。

しかし、今は・・・やはり登れない(齢のせいか)。

自転車を降り、あの頃と同じ様に自転車を押して行く。

息がだんだんあがる中、カラスの鳴き声が気になった。

何かを追ってる。

カラスくらいの鳥のようだ。白い。

飛ぶ姿を見てハッとした。那須でよく見る白い大きな鳥。

最初はオオタカかと思ったが、それよりは小さい。サシバかノスリか。

それでも猛禽類。飛ぶ姿が美しい。

しかし、カラスは集団でその白い鳥を追い立てる。

逃げる白い鳥は、木々の向こうに消えて行った。

こんな所にもいるんだ。こんな住宅ばっかりの所に。

そういえば、私が子供の頃のこの辺には、野兎もウズラもフクロウもいた。

いつしか見なくなり、私も成長するうちに、また関心もなくなってしまっていた。

だから見えなかっただけで、実は細々と居たのかもしれない。

ずっと居たのかもしれない。この町に。

トンボ
「トンボ」

数日が経ち、しかし原発は一向に収まらず、

でも仕事も生活もあるので、踏ん切りをつけて那須へ帰った。

途中、桜が満開だった。

あれから5年。

原発は一向に収まらず、

実家の近所の森はさらに伐られ、

店が出来、道が出来、便利になったと人は言う。

そして那須の森も伐られ、

自然エネルギーであるソーラーパネルが大量に設置されている。
  1. 2016/07/11(月) 22:50:55|
  2. その他
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<7月も後半 | ホーム | 梅雨まっただ中>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://mountain4.blog76.fc2.com/tb.php/158-e7c7ee06
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

TOSHIHIROW

Author:TOSHIHIROW

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

木工品 (40)
釣り (6)
音楽 (6)
その他 (113)
未分類 (4)
たべもの (14)

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する